近年、地方再生の一環としてよく名前を耳にするようになった「地域おこし協力隊」。しかし、その運営方法に不満を持つ方は多く、
「二度としたくない」
「地域おこし協力隊の闇」
などネガティブな印象がネットには広まっています。
今回は、”地域おこし協力隊が抱える闇”をテーマに、なぜ地域おこし協力隊が悪い印象を持たれるのかを解説します。
【今回の記事の内容】
・地域おこし協力隊が抱える問題点
・地域おこしに求められること
・地域おこし協力隊でトラブルを防ぐために
そもそも地域おこし協力隊とは?
公式HPによると、地域おこし協力隊とは
人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地方協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地方力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度
とあります。
つまり、「都会の人たちに地方創生に取り組んでもらって定住してもらおう」と言うことです。
2022年時点で6,447人の隊員が活動中で、国は2026年度までに10,000人まで隊員数を伸ばそうとしています。
3年間の期間で地域おこしに取り組む
地域おこし協力隊は予め期間が決まっており、大抵3年間の任期になります。
また、ミッション型とフリーミッション型の2つの働き方があり、前者は採用時に目標が決まっている一方、後者は移住後に何を目標とするかを決めます。
自分で何か新しいことを始めたい人はフリーミッション型の地域おこし協力隊に申し込むと良いでしょう。
隊員一人あたり最大480万円の活動経費
地域おこし協力隊に取り組む自治体に対して、国が活動に必要な経費について特別交付税措置を取っています。
この特別交付税は、受⼊⾃治体の取組実績を後から調査し、実績に応じて総務省から⾃治体に対して交付されるものです。
隊員の活動期間中は、一人あたり最大480万円の活動経費を得られるのです。
・報償費等…280万円
(隊員のスキルや地理的条件等を考慮した上で、最⼤330万円まで⽀給可能。その場合も480万円が上限)
・その他の経費…200万円
(活動旅費、作業道具等の消耗品費、関係者間の調整などに要する事務的な経費、研修等の経費など)
ただし、この交付金には問題があります…(後述)
地域おこし協力隊が抱える問題点
地方創生に繋がる重要な役割を担っている地域おこし協力隊ですが、問題点も多く抱えています。
その代表的なものが以下の4点です。
1:自治体に多くの判断が委ねられている
2:活動経費が思うように使えない
3:地元民と折り合いがつかない
4:給料・福利厚生が充実していない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自治体に多くの判断が委ねられている
地域おこし協力隊の活動の多くが、自治体の判断に委ねられています。
「公用車を自由に使えない」「新しいことを企画しても通らない」など、思うように活動できないことが多々あります。
せっかく地域おこしのために考えたことでも許可が降りないと実現できないため、何のための地域おこし協力隊なんだ…」とやる気をなくしてしまう隊員もいるようです。
活動経費が思うように使えない
前述の通り、隊員一人当たり最大480万円の活動経費が国から支給されます。しかし、この交付金は活動実績をもとに後から支給されるため、その年の活動費は自治体が代わりに負担することになります。
よって、活動経費に出し渋りが起こってしまうのです。
地元民と折り合いがつかない
地方社会では、地元民の協力なくして地域おこしは不可能です。
しかし、都会で今まで暮らしてきた人にとって田舎のルールを理解することは難しく、地元民との折り合いがつかないことが頻繁にあります。
結局、地域の人々の反対によって活動が制限されてしまい、不自由な思いをする隊員がいるようです。
給料・福利厚生が充実していない
各地方自治体の募集要項を確認すると、隊員の給料は15〜20万円程度が多いことがわかりました。
都心部の方には低いと感じられますが、田舎だったらこの金額で十分暮らせていけます。
交通費の支給の有無は自治体によって様々。住む場所は、市町村が負担する場合が多いですが、月5万円まで支給の自治体もあります。
自治体によって変わるので、気になる自治体の募集要項を確認してみましょう。
活動費を団体が横取り
地域おこし協力隊の事業に参加するNPO法人や社団法人の中には、「管理費」などと称して隊員が利用できる活動費からお金を横取りする人々がいるようです。
このような不正が起こるため、地域おこし協力隊は「意味がない」「税金の無駄」と言われてしまうのでしょう。
地域おこしに必要なものとは
本当の意味で地域おこしを達成するために必要なことは「若い世代に住みたいと思ってもらえる町づくり」です。具体的に言うと、「子育てしやすい」「娯楽が程よくある」などですが、一番重要な指標は「働く場所がある」ということです。
働く場所を増やす
地域おこしの最終的な目標は雇用機会の創出です。
どうして若者は地元を抜け出し、都会へ移り住むのでしょうか?それは、地方に魅力的な働く場所はないからです。
地域おこしで観光を盛り上げる理由は、観光客に来てもらうためだけではありません。「観光案内」「宿泊施設」など、観光業で雇用機会を増やすためです。
地域おこし協力隊の活動が働く場所の創出に繋がると良いですね!
地域おこしができない地域の末路
よく、「田舎には田舎のルールがある」と新しい変化を拒否する方々がいます。それは正しいことです。そのルールの上に現在の生活があるので、それを壊したら今の暮らしはなくなってしまうでしょう。
しかし、今のままでは数十年後、全国の過疎地域や限界集落は自治が維持できなくなり、町に人がいなくなってしまいます。
長い目で見たとき、多くの地域に変化が必要とされています。
トラブルを防ぐために
地域おこし協力隊でトラブルを防ぐために、以下の3つに注意しましょう!
①応募先の地域の情報収集をする
②地元民とコミュニケーションを取る
③地域の文化を理解する
応募先の地域の情報収集をする
地域おこし協力隊に応募する前に、応募先の地域について詳しく情報収集することが重要です。
地域の特性や課題を把握し、自分のアイデアやスキルが役立つかどうかを判断することができます。
地元民とコミュニケーションを取る
地域おこし協力隊の活動は地元民との協力が不可欠です。地域の人々と積極的にコミュニケーションを取り、彼らの意見や要望を聞くことが重要です。地元の文化や風習にも敬意を払い、地域の人々との協力関係を築くことで、活動の成功につなげることができます。
地域の文化を理解する
地域おこし協力隊の活動は地域の文化や風習を尊重することが求められます。地域の歴史や伝統、価値観を理解し、それに配慮した活動を行うことが重要です。地域の人々とのコミュニケーションや協力を円滑にするためにも、地域の文化に敬意を払う姿勢が必要です。
まとめ
地域おこし協力隊の問題点を解決するためには、自治体や隊員自身が取り組むべき課題があります。
自治体は隊員の活動を制約せず、柔軟な支援を行うことが重要です。
また、隊員自身は地元民とのコミュニケーションを大切にし、地域の文化や風習を尊重する姿勢を持つことが必要です。
さらに、地域おこし協力隊の活動が地方の雇用機会を増やすことに繋がるような施策が必要です。
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