転職エージェントに登録を断られることはある?
結論として、転職エージェントのような職業紹介事業者は、原則として「求職の申し込みを断ってはいけない」と法律で定められているため、登録自体を断られることはありません。
ただし、サポートや求人紹介の有無に関しては法律がないため、紹介できる求人がなければ支援を断られてしまう可能性があります。
実際に「転職エージェントに求人紹介を断られてしまった」という方も少なくありません。
転職エージェントは誰でも登録できますが、状況によっては求人紹介やサポートを断られる可能性があることを把握しておく必要があります。
転職エージェントの利益を上げるしくみとは?
転職エージェントのビジネスモデルは、求人募集をしている企業に求職者を紹介することで、企業から手数料を受け取ることです。
つまり、求職者が内定を獲得することが転職エージェントの利益に直結するため、転職エージェントは内定を獲得するための最善策を模索することが基本となります。
転職エージェントに断られる際のおもな理由
転職エージェントに求人紹介を断られる主な理由は以下の通りです。
経歴やスキルが浅く、サポートが難しい人
求職者の経歴やスキルが浅い場合、求人紹介を断られてしまう可能性があります。
転職エージェントは多数の求人案件を保有していますが、求人募集要項を満たしていなければ紹介を受けることはできません。
例えば、職歴や経験がゼロ、スキルや資格がない、または無職期間が長い場合は、求人紹介を断られてしまう可能性が高いため注意が必要です。
就業経験がなかったり経験が浅い場合は、求人紹介を断られてしまう可能性があることを把握しておくことが重要です。
年齢が高すぎる
転職エージェントによっては、年齢が高すぎる求職者に対して求人紹介を断る可能性があります。
企業側がキャリア採用に消極的であったり、ポテンシャルを期待しづらい場合、長期的なキャリア形成が難しいと判断される場合などが原因です。
40代以上で転職を考えている場合は、ミドル層向けの転職エージェントを利用することも検討しましょう。
希望が高すぎるなど希望が得意分野と合っていない人
求人紹介は企業と求職者のニーズが合致してはじめて行われるため、希望条件にマッチする求人企業がなければ紹介を受けることはできません。
そのため、年収や待遇の希望条件が高すぎる場合も、求人紹介を断られてしまう可能性があります。
年収や待遇、休日日数など、自分の市場価値から外れていたり、満たすのが難しい希望条件を設定した場合は求人紹介を断られる可能性があるため、希望条件を考え直す必要があります。
また、転職エージェントは各社でそれぞれ得意分野があります。その得意分野と転職者の希望や属性が合っていない場合も断られる可能性があるため、事前に確認することをおすすめします。
利用者の希望の勤務地がサービスの対象外
転職エージェントには、関東圏など特定のエリアに特化したものがあります。
このような転職エージェントは、そのエリアの求人に強く、エリア外の求人には対応していないことがあります。
ただし、現在の住所がエリア外であっても、希望の勤務地がサポートの範囲内であれば大丈夫です。
電話やWebで面談を行ってサポートしてもらえます。
勤続期間が短い・転職回数が多い
勤続期間が極端に短かったり、転職回数が多かったりする場合にも、転職エージェントからサポートを断られるかもしれません。
企業から「早期退職リスクを抱えた人材」という印象を持たれやすく、採用につながりづらいためです。
また、明確な転職の目的がない場合やこれまで一度も長期間働いた経験がない場合も、求人紹介を断られる可能性があります。
転職の意思を強く感じられないケース
求職者が「受け身」の姿勢になっている、転職エージェントに対する返信が遅い場合やあいまいな態度をとる場合、転職意欲が低いと捉えられることがあります。
そのため、転職エージェントからサポートを優先的に受けることができなくなったり、断られる可能性があります。
転職エージェントは、転職活動がスムーズに進まないだけでなく、内定後に辞退されるリスクまでを考慮しています。
ですから、転職エージェントからの連絡には迅速かつ具体的に対応することが求められます。
ブランクが長すぎる
ブランク期間が長い場合、仕事に向けた姿勢だけでなく、家庭の事情や健康状態などについても懸念され、求人紹介を断られることがあります。
特に1年以上のブランクがある場合には、その理由を説明することが重要です。
また、現在は問題なく長期間働ける、または働く意欲があることをアピールすることも大切です。
以前不義理があった
転職エージェントがサポートを断る理由として、以前同じ転職エージェントを利用して内定辞退した、面接や面談をドタキャンや遅刻など繰り返したなどの不義理がある場合です。
ただし、他者同士で共有されることはなく、キャッシングのブラックリストとは異なります。
例えば、そのエージェントで門前払いされた人でも、他のエージェントを利用することは可能です。
ただし、同じグループが営業する別のエージェントには注意が必要です。
ブラックリストに似て非なるものが存在する場合もある
転職エージェントによってはブラックリストは存在する可能性があります。
ただし、前述したとおり、「ブラックリスト」という名称ではなく、エージェント内だけで保存・記録をしているリストがあるということだけであり、金融機関や各社同士で転職者情報を共有するようなブラックリストのデータベース化は、法律で禁止されているため存在しません。
つまり、法律・規約を守っている転職エージェントにはブラックリストがありません。
しかし、これにより、求職者はそのエージェントを利用することができなくなる可能性があります。
前科や自己破産の経歴は伝わる可能性はある
前科や自己破産などの犯罪歴や経歴は公になっているため、他の転職エージェントなどにも知られる可能性があります。
そのため、エージェント側からサポートを断られてしまうことも考えられます。
個人情報保護法に関わらず、他のエージェントなどにも情報が伝わることがあることを覚えておく必要があります。
SNSの発信からブラックリストになることもある
転職エージェントによっては、転職希望者のSNS投稿をチェックすることがあるようです。
そのため、本名でのSNSは特に社会人としてのマナーやモラルを意識した投稿を心がけることが重要です。
ブラックリストに載る人の特徴
転職エージェントのブラックリストに載る人の特徴は以下の通りです。
感情的暴言を吐くなど高圧的な態度を取る人
「もっといい案件を紹介しろ」といった高圧的で横暴な態度をとる方は、転職エージェントだけでなく、求人企業に対しても責任をもって紹介できないため、ブラックリストに入れられる可能性があります。
ただ、エージェントがブラックリストに入れる理由は、エージェント側の単に感情論からではなく、倫理的な問題がある場合です。
反社会的勢力との関係や取引がある
転職エージェントからのサポートを受けられないケースとしては、反社会的勢力の関係者だったり、それに近しいような組織と関係があると判断された場合があります。
このような場合、ブラックリストに入れられて、エージェント側からの連絡を控えられる可能性があります。
ただし、このような判断は極めて稀であり、一般的にはありません。
ウソの経歴を伝えるなど選考における重要事項を隠す
転職エージェントによって、求人企業に対して推薦状を書いて転職希望者をアピールすることがあります。
そのため、転職希望者が提出した履歴書や職務経歴書、口頭で得た情報などを参考にしています。
しかし、自分をよく見せようと嘘の情報を伝えてしまうと、エージェントが求人企業に虚偽の情報を伝えてしまい、最悪の場合は内定後に嘘がばれて信頼を失うことになります。
そのため、転職希望者が経歴などに嘘をついていることが分かった場合、転職エージェントからサポートを打ち切られるリスクがあります。
実際に、ブラックリストに入れられることもあるので、自分自身の経歴について正直に伝えることが重要です。
エージェントからの連絡に応じない
転職エージェントからの連絡に応じなかったり、面談やカウンセリングのスケジュールをドタキャンするなど、社会人としての基本的なルールを守れない場合は、信用を失ってしまいます。
エージェントも時間を調整して転職希望者との面談の時間を作ってくれているため、やむを得ない理由がない場合は約束を守ることが大切です。
緊急の場合を除いて、このようなことがあれば、転職エージェントからサポートを断られる場合があります。
社会人としてのマナーを守り、信頼を築くことが転職活動においても重要です。
情報を引き出したあとに別のルートで選考を進める
転職エージェントからのアドバイスや情報を得た後に、その情報を元に知人や他の転職エージェントを通して、企業に応募することは避けた方が良いです。
また、このような行為は転職エージェントが行っているビジネスにとっても好ましくないため、その後のサポートを断られたり、登録を拒否されたりする可能性があることを覚えておく必要があります。
転職エージェントも慈善事業ではなく、ビジネスとして成り立っていることを理解しておく必要があります。
結果を全てエージェントの責任にする
内定を得られなかった場合、転職エージェントに責任があると非難する方がいますが、そのような態度はブラックリストに載ってしまう可能性が高いです。
転職エージェントが紹介した案件であっても、内定が確約されているわけではありません。
面接を受けるのは転職希望者自身であり、転職エージェントができるのはあくまでサポートすることです。
自分自身がどのように変化し、改善する必要があるかを考えられない人は、転職エージェントからの評価が低くなることになってしまいます。
転職エージェントに断られないための対策
転職エージェントに断られないための対策は以下の通りです。
事前に「キャリアの棚卸し」を行っておく
希望する分野における人材ニーズを把握しておくのは、現状スキル・経験と企業が求める人物像とのギャップをはっきりしておくうえで大切です。
ギャップが大きい場合は、現時点では転職よりも「現職で経験を積む」や「知識・スキルの習得」、「資格取得」などのアクションのほうが望ましいかもしれません。
いずれにせよ、このケースにおいては「転職することが最善の選択とは限らない」ことも踏まえ、自身の今後のキャリアプランの検討も行っておくとよいでしょう。
求職者自身が自分のキャリアについて十分に理解していないと、転職エージェントが求職者にとって最適な求人を見つけることができません。そのため、事前に自己分析を行い、自分自身のキャリアについて理解しておくことが重要です。
登録時に経歴や希望条件をしっかり書く
転職エージェントでは、登録時に職務経歴書の提出を求めることが一般的です。
職務経歴書がしっかり用意されている転職者は、初回にサポートを断られる可能性が低いだけでなく、その経歴や意向に合った担当やサポートに当たりやすくなります。
逆に、職務経歴書やレジュメを適当に書いたまま提出すると、エージェントのほうで適切な準備ができなくなり、実績の浅い新任エージェントに回されてしまうこともあるといいます。
また、担当アドバイザーも人ですので、キャリアの棚卸しや職務経歴書について事前準備がしっかりしている転職者には応援しようという気持ちになりやすいです。
登録時のレジュメ内容がいい加減だと、その後のサポート品質にも影響が出てしまうことがあるため、転職エージェントを利用する際は、職務経歴書やレジュメの作成に時間をかけるようにしましょう。
転職時期を控えめに言いすぎない
転職エージェントは、求職者のスケジュールに合わせてサポートを行います。
そのため、転職時期を明確に定めている人やなるべく早く転職をしようとしている人を優先する傾向があります。
逆に、転職時期が「未定」や「1年後」と回答した場合、転職エージェントから「この人はまだそれほど転職意思は高くないだろう」とみなされ、サポートを断られる可能性があります。
そのため、登録時の希望転職時期については、控えめに答えすぎないことをおすすめします。
まだ転職時期が定まっていない場合は、「よい職場に入れるのなら、この時期に転職したい」とイメージできる時期を決めておくとよいでしょう。
ゆとりを持たせるよりも、「少し早ければこの時期に」という感覚で選んだ方がよいです。
初回面談前に、話すこと・質問することの準備をしておく
転職エージェントは「初回面談」後にサポートの継続を判断することがあります。
面談で希望条件と転職意思を確認し、「この求職者を転職支援することは難しい」となった場合、サポートを断ることがあります。
初回面談後にサポートを断られないようにするためには、現実的な希望条件を用意し、面談で聞かれることや質問することの準備をしておくと良いです。また、キャリアの棚卸しも大切です。
しっかりした準備は転職活動をスムーズに進めるために有効であり、担当エージェントとの信頼関係も構築されやすくなります。
ネガティブな経歴があっても、ポジティブに働いた点がないかを振り返る
ブランク期間や転職回数が多い場合でも、過去の職務経験でポジティブに働いた点があるかを振り返り、それをアピールすることが大切です。
まず、ブランク期間や転職回数を振り返り、今後のキャリアプランを練りましょう。
前職までのキャリアと紐づけ、一貫性を持たせるようにし、職務経歴書にブランク期間の理由を書き、面接でしっかり説明できるようにしましょう。
そして、ブランク期間に自分が何を考えて過ごし、どんな価値観やものの見方が備わったかを振り返り、ポジティブな方向に目を向けましょう。
ブランク期間の長い求職者や転職回数の多い求職者は決して珍しいものではなく、多くの人が次の職場を見つけています。
諦めることなく、他の転職エージェントを利用するか、対策を講じて再度挑戦しましょう。
転職サイトおよび「ブティック型」の転職エージェントを活用する
ブティック型転職エージェントは、従業員数が数十名と小規模で、特定の業種・職種に特化して求人紹介を行っています。
大手転職エージェントと比較して、「一人ひとりのサポートが丁寧で、じっくり時間をかけてくれる」という強みがあります。
これまで大手転職エージェントに「断られた」という経験のある方や、「担当アドバイザーから応募を急かされる」ことに不安を感じる方には、ブティック型転職エージェントがフィットしやすい場合があります。
ただし、求人数自体はそれほど多く保有していませんので、「なるべく多くの求人を比較検討していきたい」という方は、複数のブティック型転職エージェントに登録したり、転職サイトの登録数を増やしたりするなどの対策を取ると良いでしょう。
多くの転職エージェントに登録して相性のよい担当を見つける
転職エージェントは1社しか登録してはいけないというルールはありません。
多くの転職者が実践している一般的な活用方法は、複数の転職エージェントに登録し、同時並行で利用していくことです。
各転職エージェントで担当キャリアアドバイザーがつけば、それぞれのアドバイスを比較して最も頼りになるアドバイザーを選ぶことも可能です。
転職エージェントは各社でターゲットとする転職者の年齢層や業界・職種などの得意分野が異なります。
たとえそのうちの1社から登録を断られたとしても、他の転職エージェントに相談できるのであれば大きな問題ではないでしょう。
地域での転職支援に強いエージェントを利用する
地方での転職活動では、転職エージェントの求人案件が少ないため、サポートを断られる可能性はあります。
目指す地域での転職で支援実績が豊富なエージェントを優先して利用することが重要です。
サポートを断られた時の解決策
転職エージェントにサポートを断られた時の対処法は以下の通りです。
条件に優先順位をつけて、視野を広げてみるなど希望条件を見直す
転職エージェントに登録後、一度面談をしてからサポートを断られた場合は、本人の希望条件を全て満たす求人がないため、紹介が難しいと判断されたのかもしれません。
その場合は、条件を見直して優先順位を明確にし、「譲れない」と「あれば尚可」の妥協点を提示した上で、もう一度同じ転職エージェントに依頼する方法もあります。
どうしてもそのエージェントに支援をお願いしたい場合は、再チャレンジしてみても良いでしょう。
ハローワークなどの転職エージェント以外の方法を使う
転職エージェントが対応してくれない場合、他の方法も模索することをおすすめします。
実際、転職経験者が現職に就いたときに利用したサービスで最も多いのが「求人サイト・求人専門誌・新聞・チラシ等」で、次いで「ハローワーク等の公的機関」、「縁故採用」となっています。
つまり、転職エージェント以外の方法でも転職できる可能性が高いです。
例えば、転職サイトでは自分で検索した求人に自由に応募することができますし、ハローワークは地元の中小企業の求人を数多く扱っているため、選択肢を広げたい人にはおすすめです。
時期を変えて利用する
転職エージェントにサポートを断られることがある場合、時期を変えて再度相談してみることができます。
転職市場に出回る求人数は時期によって変動するため、タイミングを変えることで求人を紹介してもらえる可能性があります。
有効求人倍率は冬から春にかけて高くなる傾向があり、転職市場に求人が出回りやすくなります。
冬から春にかけては紹介可能な求人が増える可能性があるので、転職を急いでいないのであれば時期を変えて求人を探すことも検討しましょう。
自分の属性を高める
転職エージェントによっては、勤続年数が短い場合にはサポートを断ることがあります。
このような場合には、まずは勤続年数を積み重ねることが大切です。
また、スキルや実績が足りない場合にも、現職でスキルアップや資格取得、実績作りに励むことがおすすめです。
年齢を重ねるほど転職の難易度が上がるため、転職のタイミングは年齢も踏まえて計画することが重要です。
審査が緩い転職エージェントを使う
転職エージェントの審査基準はエージェントによって異なりますが、審査が緩いエージェントを使うこともできます。
ただし、審査が緩いと求人情報の品質やサポート内容が低い場合がありますので、注意が必要です。
また、求人情報を掲載する企業の信頼性が低かったり、求人情報が詐欺的な場合もあるため、情報の正確性を確認することが重要です。
まとめ
- 転職エージェントに断られる求職者もいる
- エージェントは、求人企業からのニーズと、求職者の能力や希望に応じて、求職者に最適な求人案件を紹介することが求められます。しかし、求職者の経歴やスキルによっては、紹介することができない場合があります。
- また、人気のある職種や業界に転職する場合は、競争が激しく、求職者が希望する求人案件を見つけることが難しいこともあります。
- したがって、エージェントとの信頼関係を築き、希望する求人案件に合わせて、自分自身でも求人情報を収集することが重要です。
コメント